オレンジみかづき

アラフォー主婦の、ふたりめ妊活日記。

母のやさしさ

今日、会社の給湯室でコーヒーを淹れているときに、頭に浮かんだ。

 

数年前、のっぴきならぬ事情(!)で夜逃げして実家に戻っていた時期があった。

二十代後半で実家を出て独り暮らしをはじめていたので、両親と暮らすのはおよそ10年弱ぶりだった。

そのため、家の中の一日の流れや、ルール、親との接し方も、何もかもが新鮮だった。

 

そんな、まだ親との同居関係がぎこちないときに、駅前でどうぶつドーナツが売ってるのを見つけた。

ねこやカエルやブタなど、とても可愛かったこと、食べてみたいことを母に伝えたところ、数週間してから「駅前でどうぶつのお菓子を買ってきたよ」と、嬉しそうに母が言う。

「あれ?駅前のお店は一週間ごとに入れ替わるから、もうどうぶつドーナツは売っていないのに」

と、思いつつ、期待して包を開けると、そこには緑の和紙に包んである草餅があった。

母は、申し訳なさそうに、「どうぶつドーナツが見つけられなかったの」と言い、

緑の和紙の両端をつまんで上に引き上げ、「ほら、ウサギさん」と泣きそうに笑った。

私は、とてもうれしい気持ちになって、お互いにたくさん笑った。

 

私が小学生くらいの頃、田舎の叔母たちが上京した際に、母と叔母とで平日ディズニーランドに行って来たということがあった。

学校があった私は通常通り学校に通い、帰ってきたときに、母からお土産のぬいぐるみを渡された。

ディズニーランドのぬいぐるみと言えば、ミッキー・ミニーから始まり、当時でもドナルドやプーさんなど、かわいいものがたくさんあったはずだ。

そんな中、母がわたしに選んできたのは小さなおっさんの人形。「白雪姫と七人の小人」の中の小人の一人。「おこりんぼ」とタグに書いてあった。

愕然とする私の前で母は、「どうして?かわいいじゃない?」と泣きそうに笑ったけれども、私にとっては許せなくて、そのぬいぐるみを受け取ることはなかった。

 

ふと、思い出して、今だったら「かわいくない~」と言いながら、喜んで受け取るのになと思った。大学生くらいの頃にも、誕生日に私の好みではない真っ赤な鞄をもらって、「いらない」と言ったことがあったが、今なら喜んで使いたい。

 

はぁ、「お母さん、ごめんなさい。」と共に、子供だった自分もいとおしく思う。